Re:SIerでのキャリアパスを考える ~ここにいても大丈夫?SIerのメリット・デメリット~
はじめに
3月10日,
オラクル青山センターで開催された,
ベンチャー・カフェのイベントに参加してきました.
http://venturecafe.jp/event/engineering/2003/
小生が尊敬するブロガー兼ITエンジニアのござ先輩のブログで存在を知り,
ござ先輩はもちろん,
Seasar開発者でもあるISIDのひがさん,
SIer出身で現在Web系企業にいらっしゃる山岡さんが登壇されるということで
速攻で参加を決意.
実はその日朝から仕事だったことと開始時間を勘違いしていたのもあり,
40分程遅れての参加でしたが,
ブログを書くまでが勉強会
という都市伝説教えを愚直に実行すべく本エントリをアップします.
パネルディスカッション
まずは
「SIerでのキャリアパスを考える」スピーチ&パネルディスカッションです.
前述通り前半の話は伺えなかったのですが,
ひがさんがどのようにキャリアパスを歩んできたのか,
何を意識してきたのかを中心に話が進んでいきます.
特にひがさんの話で印象に残っているのは,
- SIerでモノを作れない不安をどう打開したか
- 差別化されたエンジニアになるためにどうキャリア形成したか
という2つの話です.
1つ目の“SIerでモノを作れない不安をどう打開したか”という話については,
ひがさんご自身,
早い段階で業務知識を見につけお客様と対等に話せるようになる
(=仕様を決められる)ことを成長の一つと捉えていて,
一方で
自分達で決めた仕様であっても,うまく動かない時に自分で直せないもどかしさ
を抱えていたとの事.
体系的な実力をつけるためにひと通りのマニュアルに目を通し,
会社のリソース・環境を利用しながら
(その頃ひがさんはプライベートでパソコンをお持ちでなかったとのことで,驚きました)
一つづつ前に進んで来たというのは,
今でこそgoogle先生に頼りがちな我々エンジニアにも十分真似できる姿勢だと感じました.
また,
自身だけでは経験できない“リアルな”シチュエーションを
とあるフォーラムで積極的に回答者となることで蓄積してきたというのも,
日々の業務に忙殺され忘れがちな“積み重ねの重要さ”を再認識することができました.
ただしここで忘れてならないのは,何を積み重ねるのか?という話です.
これが2つ目の,
“差別化されたエンジニアになるためにどうキャリア形成したか”
につながります.
差別化されたエンジニアとしてキャリア形成するには?
今,HTML5とか言ってちゃダメ.
今,Railsとか言ってちゃダメ.
とは言え,将来すぎる技術もダメ.
そうひがさんは言い切ります.
#HTML5もRailsもロクにできない小生は一旦置いておく
このひがさんの発言は,
キャリア形成,つまり“何を積み重ねるのか”を明確に意識している事に起因していると感じます.
それは,
差別化されたエンジニアとしてキャリア形成するには,
はてブで話題となっている技術やトレンドに飛びつくのではもう“手遅れ”であり,
他のエンジニアとの差別化はできない,
という事をおっしゃっていたからです.
逆に,
将来すぎる技術では誰にも理解してもらえないから,
近い将来きっと必要になり,現時点で開拓者があまりいない分野に集中し,積みあげるべきだ
とひがさんはおっしゃります.
ちなみにひがさんご自身は最近,UI,UXに注力して勉強中との事.
また,インプットを増やしすぎると追いかける事が目的になりがちなので,
ある程度情報を遮断し想いを馳せたり,人と会話する事も大事だ
ということをおっしゃっていて,耳の痛い話でした.
Web系企業の話
山岡さんからは,
ご自身が担当されている役割・業務内容を中心に,
Web系企業でどのような動き・流れがあるかをプレゼン頂きました.
最近ではジェネラルマネージャという立場で採用活動にも携わっているとのことで,
- サービス,アプリを作っている
- 自身のコードを公開している
- ブログやtwitterで発信している
ようなエンジニアは採用でもプラスに働きやすいというお話は,
今後益々出てくる流れなのだろうと感じました.
また,
華やかなイメージのあるWeb系企業に対して誤解を抱いていないか
を摺り合わせる事も意識されているとのことでした.
この“華やかなイメージ”という話に対しては,
- 収益を上げていくのはなかなか難しい
ということだけでなく,
- この業界でもSIerのような工程分断がおきつつある
というのがとても興味深い話でした.
ワールド・カフェと懇親会
同席した方々とは,
“SIerの良いところ・悪いところ”というテーマで話しました.
テーマの関係上悪いところが中心ではありましたが,
- 色々な業務を経験できる
- エンタープライズ向けハードウェア・ソフトウェアに触れられる
といったところが良いところとして挙げられました.
そして途中の席替えでは,なんと登壇者のござ先輩と同席に.
特に小生が日頃からもどかしく感じている
SIerのスピード感のなさ
(極端でもなんでもなく,ソース1行直すのに資料作って説明してQAやってで1ヶ月はかかる)
についてはござ先輩にも共感してもらったこともあり,
中の人がどう向き合っていくのかを考えるいい機会になりました.
これについては小生の中で結論は出ていませんし,
機会があれば掘り下げて,皆さんと共有したいと思います.
ともあれ,
ござ先輩と交換した名刺を励みに頑張ろうと思った次第です.
小生なりの解釈
参加を終えて感じたのは,
SIerという業界構造自体,個人のキャリアとはあまり関係しない
ということです.
ひがさんもおっしゃっていた通り,
会社は個人のキャリアにさほど興味はないから自らキャリアを積む姿勢が重要
であって,
- 自分がどう評価されたいと思っているか
- それに対し,何にどのように取り組んできたか
- それをどのように発信したか
を意識する必要があると感じます.
確かに,
会社で保有する技術に貢献するスキルアップが昇給に結びつかないだとか,
マネジメントのキャリアしか存在しない,
というのはあるかもしれません.
今回の勉強会はあくまで,“ダメ,SIer.”が前提だったので,
どうしてもそこに原因を求めがちですが,
前述したような不満はSIerという大きな構造の問題というよりは会社(経営層)に向けるべきであると思います.
事実,ちょっと見渡してみれば
コンサルテーションから保守・運用まで行なっていたり,
日々活き活きと自分の刀を磨いているエンジニアが評価される会社も少なからずあるはずです.
自身がどのようなキャリアを考え描いているのかによって解決策は異なる(転職するのか,自社でポジションを作るのか)とは思いますが,
結局,シンプルなキャリア論に帰結するのだと思います.
年度末,ということもあり,
自身のスキル・経験を棚卸してみましょう.