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黄昏の猫背の戯言

Re:これからのエンジニアリングの話をしよう ~SIerから出るキャリアパスを考える~

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ベンチャーカフェさん主催,HGCやすを氏プロデュースの
第2回:SIerでのキャリアパスを考える ~ここにいても大丈夫?SIerのメリット・デメリット~
に引き続き,
第3回:これからのエンジニアリングの話をしよう ~SIerから出るキャリアパスを考える~
に参加してきました.
http://venturecafe.jp/event/engineering/2119/

ということで簡単に,勉強会の締めくくりとしてブログレポートをアップしたいと思います.

経緯

今回参加したのは,
開催場所がグランサウスタワーにあるリクルート本社ビルであり会社から近かったこともありますが,
パネルディスカッションにスピーカーとして参加されていた萬田さんと知り合いだったからというのが理由の一つです.
実は第2回イベントに萬田さんが参加されていて,
ワールドカフェで同じ席となったことがきっかけで連絡先を交換していました.
その日の終わりに,“第3回でしゃべることになりました!”なんて話をされていたので,
これはもう参加させてもらうしかない,と.
ちなみに,前に同じプロジェクトだった会社の先輩も参加されてまして,
趣味嗜好が近いとよくある,所謂世の中狭い,です.
グランサウスに到着し受付を済ませた後,
ガラス張りのエレベーターやセキュリティーゲートを乗り継ぎながら会場のある33階へ.
会場に到着すると4人掛けテーブルが20程,正面には大型スクリーンが2枚と,
これは流石に天下のリクルート,お金かけていらっしゃる.
ヒカリエにできたDeNA本社といい,移転したmixiといい,
ファシリティの充実は現場社員のテンションであったり対外的な印象を引き上げる十分な効果があるという恒例ではないでしょうか.

SIerから出るキャリアパスを考える」スピーチ&パネルディスカッション

まずはベンチャー・カフェ主催者の方から趣旨の説明.
このイベントの趣旨は,

  • 何がやりたいかを明確にする
  • そのために“考える機会”を提供する

というものです.
前置きもそこそこに,いつもの通り(?),サングラスをかけてHGCやすを氏登壇.
ひがさんとしては,

エンジニアが生き生きと仕事をするにはどうしたらよいか

が思いとしてあり,この会をプロデュースしている目的でもあるとのこと.
前述の趣旨を踏まえる一方で“転職を目的とした会ではない”ことをフォローしつつ,
スピーカーにバトンを渡します.
自己紹介もそこそこに,
早速SIerから出ようと思ったきっかけ,SIerから出てみた現状はどうか,についてのPDがスタート.

リクルートの志賀さんは,
元々50~300人月相当のプロジェクトに在籍しマネージメントも経験したが,
特に,

仕様の決めに対する遅さ

作ることが仕事になっている

クライアントのビジネス課題が解決されたのかを見届けられることが出来ない

ということに,閉塞感のようなものを感じたとのこと.
仮に会社に留まるとしても,

  • アサインに自身の意思決定が(反映され)ない
  • クライアントを選ぶことができない

ことも,一因だったそう.

BtoBからBtoCになり,
“あれ,俺がつくったんだぜ!”
が言える機会が得られたことで,単純に満足感があったのだとか.
それに対し現在株式会社アプレッソ代表取締役兼CTOの小野さんは,

作りたいものを作っているので,それに対して胸を張れる

とBtoBという立場からフォロー.
一方リクルートの萬田さんは,SIerに不満があったわけではないとのこと.

また,
海外で仕事をする中でキャッチアップしていく過程をドラクエのレベル上げに例え,
そのレベル上げに行き詰まったこと,
自身が海外で経験した事を日本で実現したかったこと
がキャリアパスを考えるきっかけになった,というのが先程の小野さん.
とはいえ,
起業だったこともあり,“若かった”とも.

さらに,

SIerで“やりきった感”があり,同じ事の繰り返しであるように思えた

さらなるレベルアップを図りたかった

と語ったのが萬田さん.なぜリクルートを選択したか,という質問に対しては,
衣食住など,自分の生活に密着した業務形態だと感じたからだとか.

そこから,
SIerから出る際にはどのような選択肢があるか,という話へ.
ひがさん曰く,

  1. 別のSIer
  2. ユーザー企業(事業会社)
  3. 所謂,Web系

があり,
特に2については,以下のような観点から会社を選ばなければならないとのこと.
それは,

  • 何かチャレンジしようとしている会社か否か
  • “新しい事”に価値があると認めてもらえる会社か否か

という点です.
これは,仮に事業会社であったとしても過去の成功体験に引きずられ保守的になってしまうケースもあるためで,
特に金融システムのユーザー企業の場合それが顕著になり,大変そう(こっちはもっと大変だけど),と会場の同意と笑いを誘うひがさん.

PDも後半にさしかかり,会場参加者の希望を考慮したトークテーマへシフトしていきます.
内容は,“SIer出身者はどのような業界を目指すのがよいか?”というもの.
それに対しまず,

業界と言うよりも,企業風土が大切

という意見で口火を切ったのは志田さん.
志田さん自身リクルートは通過点だと考えているそうで,

  • 何を目指したいのか
  • どういった環境が心穏やかでいられるのか

を重視して業界も選択すべきとのこと.
例えユーザー企業であっても部署によってバラバラ
(実際志田さんはアーキテクチャ開発中心,萬田さんはサービス創造中心)であり,
会社内での部署と,
自身のやりたいことを照らし合わせることの重要性が言及されます.

そこから話は,実際に転職する際には,といった内容に.キーワードは,“ラストマン”.
もし業界が気に入っていて,現時点でのスキルを活かしたいと考えるのであれば,
(私が御社に入社することで御社の)弱点を補える,という強気なアプローチもアリだ,
というのは小野さん.
ソーシャルネットワークが盛んなこのご時世,
それこそスモールワールド理論に倣ってツテなりを辿ってまずは話を聞いて見ることが大切で,
転職するかどうかはその先の話である,と言います.
東急ハンズIT企画部長の長谷川さんを例に挙げ,
他の求職者に埋もれた“OneOfThem”とならないよう差別化を図るべきで,

  • これまで自身で立ち上げたサービスがある
  • ◯◯のコミュニティでリーダー格である

などといった点があればなおポイントになりやすいとのこと.
また仮にそのような“明らかに優れた”部分がなかったとしても,
チーム内,部署内で,“あいつに聞いてダメならダメなんだ”と思わせる“ラストマン”を目指していれば,
十分な差別化になり得るので,採用の際も考慮に値するのだとか.

と,この辺りで時間いっぱい,ひがさん,スピーカーの皆様,ありがとうございました!

ワールド・カフェ&懇親会

で,ワールドカフェです.
今回は冒頭の写真にあるように
“やる気を持って仕事をするためにはどうしたらよいか”
というテーマ.
あくまでワールドカフェなので,
答えを求めたりディスカッションしたりするわけではなく,
ざっくばらんに各々の想いを共有していきます.
自分たちのテーブルのメンバーは比較的高めのやる気だったのですが,
他のテーブルではやる気5%,30%なんてのもチラホラ.
テーブルメンバーにスピーカーの志田さんがいらっしゃったこともあり,

  • 企業風土があっている(会社で働く)
  • 自分の裁量で仕事を遂行する
  • スキルアップや差別化,ラストマンにつながると考える

といった内容が自分たちのテーブルでは上がりました.
写真の,“クライアントとの相性”というのはまぁご愛嬌ですかね.

懇親会は,同ビル最上階のリクルート社員食堂.
当然内装もしゃれおつで,立食形式でアルコール片手に東京の夜景を見ながらの親睦となりました.

小生なりの解釈

前回参加した際もそうでしたが,
普段業務に当たる中で忙殺されてしまうと忘れがちな,

  • 仕事に対しての目的意識
  • 自分が目指したいベクトル

といった,考えることにフォーカスできるいいイベントだと思います
(その反動で不安感に苛まれる,といったことも多少ありますが).

特に冒頭でひがさんが話していた,

不安を解消するために何をすべきかではなく,より小さい不安でいられるためにはどうすべきか

というのは納得する所で,
隣の芝生は青く見えるという理由で転職しない,
ということを頭の片隅に置いておくべきではないでしょうか.

で,同業他社の皆さんの話を聞いていると,
自分は恵まれたSIerにいるなぁ,と思うわけです.
所謂,工程の分断もなく(もちろんロールの違いにより作業者が異なることはある),
ビジネス課題を解決するための高付加価値システムをお客様に届け,それをサポートし続けることが
中の人としてやらなければならないことなわけです.
給与についても,年功序列でマネージメントしか昇給しない,ということもなく,
ロールとタイトルが独立しており,給与はあくまでタイトルに紐付くという点については,
有名無実な評価制度ということも全くありません.
これはひとえに創業以来の企業風土が具現化したものであり,
今後現場の人間が伝播させて行かなければならない部分なのだと思います.

すると,
“やる気を持って仕事をするためにはどうしたらよいか”
という点ではどうでしょうか.
結局のところ,

自身の気持ち次第

というのが小生の結論です.
確かに,新興Web系企業の新オフィスにあるような充実した設備には憧れるし,
新しい技術でどんどんサービスを生み出して,,,
というのはいつかやりたいし,やらなくてはならないことだとは思っています.
が,
某予備校講師に“いつやるの?”と聞かれても,
“今でしょ!”とはならないなぁというのが正直な所で,
SIerを,そして今務めている会社を見切るのはもったいないのかなと思ったりするわけです.
まだレベル上げきれてないですしね.

あぁいった会に行くとどうしても近視眼的になり安直にSIerだから出なきゃダメだ,と結び付けがちですが,
自身の環境を冷静に分析して,
少しだけ踏み出してみることが大事なのかな,と思ったりします.
鶏と卵の話ではありませんが,
動き出せばやる気にもなるし,やる気がでれば面白くなって好循環になるのではないでしょうか.
もちろん,

いざその時のために“懐刀”をどう磨いておくか

は当然考えたうえで行動しなければならないところですね.

※ちなみに前回レポートはこちら
http://tasogarenonekoze.hatenablog.com/entry/2012/03/11/151704